製造業では、在庫の増減だけで利益が大きく変ります






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2006年04月07日(Fri)
製造業では、在庫の増減だけで利益が大きく変ります
 たまに、メーカーの経営者から次のような質問があります。

社長「先生、うちは、ここ3年 売上は、ほとんど変りません。生産性も特に変らないのに、なんで利益がこんなに変ってくるんですか? 何か経理処理が間違ってるんでしょうか?」

私「ええ、すべてチェックしましたが、大きな間違いはありませんでした。売上が変らないのに、利益が変る理由は・・・」ということで、いつも
次のような事例で説明させていただいています。

(事例)
第1期
期首在庫ゼロ
生産500個
売上400個(単価100円)
期末在庫100個

第2期
期首在庫100
生産600個
売上400個(単価100円)
期末在庫300個

第3期
期首在庫300
生産200個
売上400個(単価100円)
期末在庫100個


この会社の場合、一個作るのにかかる変動費(材料費、外注費)20円
年間固定費は、30000円とします。

すると各期の損益計算書は
第1期
売上   40000(100×400)

期首在庫     0
製造原価 40000(20×500+30000)
期末在庫  8000((40000÷500)1個あたり原価×100)
売上原価 32000(期首+製造原価ー期末在庫)

利益    8000(売上ー売上原価)

第2期
売上   40000(100×400)

期首在庫  8000
製造原価 42000(20×600+30000)
期末在庫 21428((50000÷700)1個あたり原価×300)
売上原価 28572(期首+製造原価ー期末在庫)

利益   11428(売上ー売上原価)


第3期
売上   40000(100×400)

期首在庫 21428
製造原価 34000(20×200+30000)
期末在庫 11085((55428÷500)1個あたり原価×100)
売上原価 44343(期首+製造原価ー期末在庫)

利益   △4343(売上ー売上原価)


 確かに、経営者の感覚から言えば、営業成績(売上)も生産性も変らなければ利益も同額にならないとおかしいでしょう。
ところが、不思議なことに会計の場合は、なぜかこのようなことが起きてしまいます。
(上の例でも、他の条件が変らないのに、1期目より2期目が利益が大きくなり、3期目では赤字に転落しています。)


 実は、この理由は、固定費にあります。固定費は、期間ごとに発生額は変りませんが、多く生産した期には、1個当たりに割り当てられる固定費が少なくなりますし、逆に少なく生産した期には、一個当たりに割り当てられる固定費は多くなります。

 このため、生産量と(裏を返せば在庫量)が増減すると、他の要素が変らなくても会計上の利益を変動させることになります。

 こうした在庫の増減による利益への影響を排除して、正しく業績を計算するために、直接原価計算と言う方法があります。実は制度会計で認められた方法ではありませんが、いちど社内の分析資料として作成されてはいかがでしょうか。


   



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